Nature ハイライト

材料:準結晶は光を跳ね返す

Nature 436, 7053

準結晶は結晶によく似て見えるが、その原子配列は決して厳密に繰り返されているわけではない。結晶では、原子パターンはちょうど壁紙の模様のように規則的な間隔で繰り返されている。  P Steinhardtたちは今週号で、準結晶には結晶に似たまた別の性質があることを示している。準結晶は特定の波長帯の光に対して不透明になるだろうというのだ。この光はあたかも鏡で反射されるかのように跳ね返されるのである。このようにふるまう材料は、フォトニックバンドギャップを持つといわれ、電気通信などの光技術で光シグナルの誘導や制御に役立つ可能性がある。  これまでのフォトニックバンドギャップ材料は、規則的に繰り返す単位からなる結晶であった。Steinhardtたちは、プラスチック製の棒を使って大規模な模型を組み立て、このような「フォトニック結晶」と準結晶を比較した。まず、長さ1センチメートルの棒を数千本つないで、ダイヤモンド中の原子間の化学結合配列をもつ模型(このような構造はフォトニックバンドギャップを持つことが知られている)と、これに対応する、準結晶中の原子間結合がもつ準規則的な格子の模型を作った。この大規模な構造では、フォトニックバンドギャップが可視光ではなくマイクロ波に相当するもっと長い波長で現れると予想される。  著者たちは、実際にこの準結晶格子が、ちょうどダイヤモンド格子の場合と同じように、特定の角度でマイクロ波を遮断することを見いだした。このような準結晶構造は、光技術に有用であるだけでなく、もっと大きいスケールで作れば音波も遮断するようにできるかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度