Nature ハイライト

無機化学:簡便な窒素固定法を求めて

Nature 501, 7465

工業的な窒素固定は、ハーバー-ボッシュ法によって非常に大きな規模で行われている。ハーバー-ボッシュ法は、高温・高圧条件の下で固体鉄触媒を用いる。合成化学の分野では、数十年にわたって、植物や細菌中のニトロゲナーゼを手本に、窒素からアンモニアへの還元反応を温和な条件で触媒する小さな金属錯体が探し求められてきた。今回J Petersたちは、鉄がトリス(ホスフィン)ボランに担持された錯体が、この反応を温和な条件下で触媒し、その効率が妥当であることを報告している。今回の結果は、窒素固定反応の仲介には単一の鉄部位だけで十分であることを示唆している。また、FeMo補因子やニトロゲナーゼ中にはモリブデンも存在するが、モリブデンではなく鉄が窒素結合・活性化部位であることを示す最近の生化学的・分光学的データと一致している。

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