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神経科学:細菌は厄介な痛みの種

Nature 501, 7465

皮下組織で感覚神経線維(白色)に直接接触し、痛みを引き起こす黄色ブドウ球菌(緑色)。
皮下組織で感覚神経線維(白色)に直接接触し、痛みを引き起こす黄色ブドウ球菌(緑色)。 | 拡大する

Credit: Balthasar Heesters and Isaac Chiu

ブドウ球菌(Staphylococcus)によって引き起こされるような細菌感染では痛みが生じるが、これは免疫応答や炎症に続く二次的な症状と考えられている。今回C Woolfたちは、細菌感染の際の痛みの誘導が、従来考えられたこともなかった仕組み、つまり病原体が仲介する侵害受容器の直接活性化によっていることを報告している。彼らは、マウスで黄色ブドウ球菌(S. aureus)感染の際に生じる痛みが、既知の免疫メディエーターのほとんどとは無関係であることを見いだした。この細菌は、ホルミル化ペプチドおよび孔形成性毒素という2種類の分子を産生し、それらが侵害受容器神経を直接活性化することで痛みを誘導し、次いで炎症を調節するのである。

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