Nature ハイライト

宇宙:仲良し三つ子星

Nature 436, 7048

標準的な惑星形成論によれば存在するはずのない惑星が、恒星系HD188753をまわっている。この惑星は、M Konackiによって発見されたもので、木星と同程度の質量をもつ「巨大ガス惑星」のようだ。そして、中心星に近い軌道を3〜9日の公転周期でまわり、「ホット・ジュピター」となっている。現在までに発見されている155個前後の太陽系外惑星には、このようなホット・ジュピターがいくつかある。  しかし問題なのは、HD188753が単独の恒星でなく三重星であることだ。中心の主星は太陽と同程度の質量で、この星から平均して太陽−地球間距離の12.3倍(12.3天文単位)のところを、互いに接近して束縛しあう一対の星が連星系となってまわっている。ホット・ジュピターの起源に関する通常の理論によれば、連星をなすこれらの伴星があると、木星のような惑星はできなかったはずである。  このような惑星は、主星に近い現在の場所で生まれたものでないと考えられる。なぜならそこはあまりに高温で氷の核ができず、惑星のもとになるガスがその周囲に集まらないからだ。したがって一般的には、ホット・ジュピターは中心星からもっと離れたところでできた後に内側へ移動したと考えられている。しかしHD188753では、主星とペアをつくる一対の伴星によって、主星から約1.3天文単位より遠方でも、惑星のもとになるガスと塵の円盤が焼き尽くされたはずである。現在の理論でいけば、ホット・ジュピターはこれより遠方で形成されなければならない。そうするとこの惑星は、いったいどこからやってきたのだろう。M Konackiは、この問題に答えることができれば、惑星形成過程そのものについての新しい理解が得られるかもしれないと語っている。

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