Nature ハイライト

がん:RASタンパク質の間接的ターゲッティング

Nature 497, 7451

RASは最も高頻度で変異が生じているがん遺伝子であり、抗がん剤開発の主な標的の1つだが、臨床的に有効な低分子の修飾因子の探索はまだ成功していない。今回H Waldmannたちは、KRASを標的とする新規な手法を報告している。この方法は、プレニル基結合タンパク質PDEδへのKRASの結合を阻害することで、KRASの細胞内局在状態を変化させるというものだ。阻害剤スクリーニングにより、PDEδのプレニル基結合ポケットにナノモーラーの親和性で選択的に結合し、発がん性のKRASシグナル伝達を阻害し、またKRAS依存性のヒト膵細胞株増殖を抑制する複数の小型分子が見つかった。この手法は、臨床で使える別種の候補分子の発見を目的とする薬剤開発を活発化させるかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度