Nature ハイライト

構造生物学:小粒な酵素の大きな働き

Nature 497, 7450

膜内在性の酵素であるジアシルグリセロールキナーゼは、グラム陰性細菌で、ペリプラズムに存在する膜由来オリゴ糖や外膜リポ多糖の合成に関与している。たった121個のアミノ酸残基からなるこの酵素は、既知のキナーゼ中で最も小さく、膜タンパク質の挙動や酵素学的性質を調べる際のモデルとして使われている。M Caffreyたちは今回、変性していないジアシルグリセロールキナーゼと、熱に対して安定で機能を備えた2つの変異体の高分解能でのX線結晶構造を報告している。ジアシルグリセロールキナーゼについて、この他に報告されている唯一の構造は溶液NMRを用いて解かれたものだが、今回の結晶構造はそれと異なっている点が注目される。N&Vでは、J ZhengとZ JiaがNMRから得られた構造と結晶構造の間の相違の一因となっている可能性のある因子について論じている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度