Nature ハイライト
進化:系統発生解析に待ったをかける
Nature 497, 7449
進化史を再構築しようとする研究者にとって、非常に古い年代にあまり間を置かずに起こった進化上の事象は、順序の解明が特に難しい。通常の方法は、できるだけ多くの遺伝情報を連結し、どのような系統樹が現れるかを見るという、少々強引なやり方に頼っている。だが、このような連結をするために使われるデータの信頼度はどの程度なのだろうか。L SalichosとA Rokasは、23の酵母ゲノム由来の1070個の遺伝子データセットを使ってこの疑問を調べ、この1070通りの遺伝子系統樹には、連結分析によって100%支持された系統樹と完全に一致するものが1つもないことを見いだした。不一致の程度は、ノード間の長さが短いものほど、また系統樹での位置が深くて根に近いものほど、大きかった。そして、分岐群の平均的支持度が高い遺伝子およびノード間に高い信頼度を与えることが解決につながるとわかった。古い年代の進化上の出来事を解明しようとする際には、データの不一致を極力排除することが第一歩になると著者たちは主張している。
2013年5月16日号の Nature ハイライト
進化:系統発生解析に待ったをかける
構造生物学:smoothened受容体の構造
宇宙:天王星と海王星の気候は薄い層に閉じ込められている
工学:エネルギー効率の良い電気ポラリトンレーザー
材料:環境によりやさしい鉄鋼生産
進化:発生に基づく遺伝子型–表現型マップ
水産学:温暖化に対する魚類個体群の応答
細胞生物学:低酸素がmiRNAに与える影響
微生物学:バイオフィルムは「金持ちはさらに金持ちに」型の仕組みによって作られる
生化学:感染性インフルエンザウイルスの受容体との結合