Nature ハイライト 宇宙:ブラックホールの吸引力 2006年6月22日 Nature 441, 7096 暗い空にある真っ暗なブラックホールを直接見ることはできないが、そこに落下していく物質が明るく輝くため、どこにあるかはわかる。この円盤の降着過程は、高エネルギー天体物理学の多くの分野で中心的な問題となっているが、その基盤をなす活動に関し、観測によって得られる手がかりはわずかしかない。今回Millerたちは、恒星質量のブラックホール連星系GRO J1655-40から得られた注目に値するスペクトルを使い、高密度天体へ降着する円盤の性質を観測によって突き止めるという待望の研究成果を得ることができた。このスペクトルには、ある磁気過程によりエネルギーを供給されているとみられる、X線を吸収する「風(ウィンド)」のような現象が記録されているが、この磁気過程は円盤を通じて降着も駆動していると考えられる。この結果は、円盤からブラックホールへの降着が、基本的には磁気過程であることを示している。 2006年6月22日号の Nature ハイライト 生態:差し迫った問題 物理:仕事をするリラクサー 植物:自然界のシロイヌナズナ 宇宙:ブラックホールの吸引力 技術:シリコンフォトニクスに向けて 地球:サンアンドレアス断層にはストレスがかかっている 生態:誠実なイメージ 免疫:T細胞を作る2種類の区画の起源 細胞:ゴルジ体の成熟 細胞:心臓の老化 目次へ戻る