Nature ハイライト

微生物:ボルバキアにぴったりのすみか

Nature 441, 7092

ボルバキア(Wolbachia)は細胞内寄生生物として著しい成功を収めており、たいていの節足動物で見つかる。また、遺伝子組み換えボルバキアはカの体内でのマラリア原虫の成熟を阻止すると考えられているため、マラリア防除の手段になるかもしれない。ボルバキアはミトコンドリアと同じように母から子に受け継がれる。また、種を越えた水平伝播も認められるが、こちらに関与する細胞機構はほとんどわかっていない。今回Frydmanたちは、ボルバキアが組織障壁を越えて生殖細胞系列に達することができることを報告している。ボルバキアは、ショウジョウバエ(Drosophila)に新たに侵入したり母子感染したりすると、胚腺(卵の形成部位)の体性幹細胞というニッチに棲みつく。この幹細胞ニッチが、生殖細胞系の感染におけるボルバキア供給源となるらしい。

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