Nature ハイライト

地球:2012年4月11日に起こったインド洋東部地震

Nature 490, 7419

M 8.6を記録した2012年4月11日の東インド洋地震では、そのわずか24時間以内に、北米西海岸沖でM 6.0以上の地震が4つも発生した。
M 8.6を記録した2012年4月11日の東インド洋地震では、そのわずか24時間以内に、北米西海岸沖でM 6.0以上の地震が4つも発生した。 | 拡大する

Credit: Fred Pollitz

2012年4月11日に、スマトラ島の沖合数百kmのインド洋北西部で、これまでに記録された中で最大のものとなる2つの横ずれ地震(マグニチュード8.7と8.2)が発生した。今週号では3つの研究グループが、この地震に加えて、その前後数日から数か月の地震データを解析した結果を報告している。M Delescluseたちは、これらの地震が、2004年にアチェで、また2005年にニアスで起こった巨大逆断層地震後にインドとオーストラリアの間で続いているプレート内変形増大過程の一部であることを示し、スンダ海溝におけるスラブを引っ張る力に駆動されて、オーストラリアプレートがインドプレートから徐々に分離していると結論している。H Yueたちは4月11日の地震は数分間継続した複雑な4つの断層破壊からなり、その2時間後にマグニチュード8.2の余震が続いて起きたことを示している。格子状をした横ずれ断層群でのこれらの大きな破壊は、地殻を通って上部マントル内に広がるもので、リソスフェアの大変形を表しており、やがてはインドプレートとオーストラリアプレートの間に局所的な境界が作り出される可能性がある。F Pollitzたちは4月11日の後の6日間に、マグニチュード5.5以上の遠地地震の世界的な発生率がほぼ5倍になり、最大でマグニチュード7の地震が誘発されたらしいことを示した。この地震のこれまでにない遅延誘発能力は、その横ずれ地震源の配置に起因する可能性があるが、あるいは全球の地震発生率が非常に低く、破壊寸前の震源の数が増えている時期にこの地震が起きたためなのかもしれない。

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