Nature ハイライト

植物:低リン酸土壌に耐えるイネ

Nature 488, 7412

フィリピンで行われているPSTOL1遺伝子導入したイネの育種。
フィリピンで行われているPSTOL1遺伝子導入したイネの育種。 | 拡大する

Credit: S. Heuer, IRRI

アジアの多くの地域ではイネが主要な作物となっている。しかし、これらの地域では、リン肥料が十分手に入らなかったり、農業用水を降雨のみに依存する天水栽培法が気候変動の影響を受けやすかったりするといった問題があるため、コメの収量が低い。今回S Heuerたちは、PSTOL1(phosphorus-starvation tolerance 1)という、リン欠乏に対する耐性をイネに与える遺伝子の特徴を解析して報告している。この遺伝子は、在来イネ品種のKasalathには存在するが、イネの参照ゲノムおよびそのほかの近代のリン欠乏非耐性品種には存在しない。PSTOL1は、根の初期発育の促進因子として作用し、リンをはじめとする栄養素の植物体による取り込みを増加させることがわかった。この遺伝子を地域に適応したイネ品種に導入すれば、低リン条件下での生産性が向上すると考えられる。

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