Nature ハイライト

生態:種分化の逆転による絶滅

Nature 482, 7385

種の絶滅は、大きく異なる2通りの方法で生じる。第一は、単純な個体数の減少である。第二は、第一ほどよく知られていないが、かつて別々であった種が種分化過程の逆転によって1つの種になるという仕組みである。この逆転過程では、生物多様性は低下するが、存在する動植物個体の総数は必ずしも減少するわけではない。生物多様性が大きく低下したヨーロッパの17の大型湖沼に固有のホワイトフィッシュ類について、過去および現代のデータの解析から、種分化の逆転現象が起こっていることが明らかになった。湖沼の富栄養化が生態的な種分化を逆転させて、多くの固有種の絶滅を推進してきたことを示す、強力な証拠が得られたのである。そのような絶滅は、保全活動で既存の種を保護するだけでなく、種の形成過程を見つけ出してそれを保護することで初めて防止できる。

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