Nature ハイライト

脳:関節の動きはフィードバック経路で追跡される

Nature 478, 7369

肢に複数の関節がある動物で神経系が解決を迫られる難問の1つは、肢の動きの複雑な組み合わせによって生じる感覚入力を、どうやって正しく解釈して応答するかということだ。例えば、見かけ上単純な1回の肩の移動でも、それが生じるために肩と肘に働く力の組み合わせの数はほぼ無限と言える。Pruszynskiたちは、サルでの神経生理学記録とヒトでの刺激実験を用いて、肢の機械的動きの情報が、大脳皮質の一次運動野(M1)を含むフィードバック経路によって解かれており、過去四半世紀にわたって主流となっていた説、つまり運動変数のフィードフォワード情報処理によって解かれるのではないことを示している。この結果は、ヒト型ロボットや脳マシンインターフェースの設計に影響を与えると同時に、脳卒中などによる運動機能障害のある患者の状態理解や治療にも関係してくる。

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