Nature ハイライト

医学:血漿脂質量を操作する

Nature 478, 7369

マウスでの最近の研究によって、マイクロRNA-33aが脂質代謝の重要な調節因子であり、これを阻害すると血漿中の高比重リポタンパク質(HDL)が増加し、アテローム性動脈硬化が抑制されることが明らかになっている。Raynerたちは、これらの知見を非ヒト霊長類(アフリカミドリザル)へと広げるという重要な研究を行った。非ヒト霊長類は、miR-33aとmiR-33bの両方を発現する点でヒトと似ているが、マウスとは異なっている。Raynerたちは、アンチmiR-33がmiR-33aとmiR-33bの両方の阻害に有効であることを見いだした。マウスで観察されたのと同様に、アンチmiR-33は血漿HDL濃度を上昇させたが、超低比重リポタンパク質トリグリセリドを減少させるというまた別の有益な作用も見られた。これらから、この種の「antagomir」療法が、心臓血管病のリスクを高める脂質異常症の治療法になる可能性が出てきた。

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