Nature ハイライト

気候:植物の生産性のエルニーニョが原因の変動

Nature 477, 7366

植物による全球スケールでの炭素同化、つまり総一次生産(GPP)を定量的に求めることは、葉よりも大きなスケールでの直接的な測定方法がなかったために困難だった。世界中に点在する試料採取地から得られた、大気中二酸化炭素の酸素同位体比(18O/16O)の約30年分の未発表記録の解析から、モデル化を行わずにGPPを見積もる方法が得られた。このデータから、エルニーニョ事象によって駆動される、これまで知られていなかった年々変動が明らかになった。この影響は、熱帯の水循環を通して熱帯から高緯度域へ伝播する。エルニーニョ事象からの回復が速いことから、二酸化炭素の循環時間はこれまで一般に考えられていたよりも短く、全球GPPの最良の推定値は、現在の見積もりである1年当たり炭素120ペタグラムではなく、150〜175ペタグラムとなると考えられる。

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