Nature ハイライト

医学:腸の炎症性疾患における上皮細胞の細胞死

Nature 477, 7364

今回2つのグループが、デス受容体によって誘導されるネクロトーシス(necroptosis)の調節が上皮に本来的に備わっている機序であり、免疫恒常性の維持や腸の炎症の防止に重要であることを、マウスで明らかにしている。Welzたちは、デス受容体が誘導するアポトーシスに必要なアダプタータンパク質のFADD(Fas-associated protein with death domain)が持つ予想外の生理的機能を報告している。腸上皮特異的にFADDをノックアウトしたマウスでは、FADDを欠損する結腸上皮細胞の細胞死の増加により、結腸に重い炎症が生じる。一方、Güntherたちは、カスパーゼ8が腸管における免疫恒常性の維持に今まで知られていなかった意外な機能を果たしていることを報告している。腸上皮細胞でのカスパーゼ8の発現が、マウスでTNFによるパネート細胞の細胞死や腸の炎症を防いでいることがわかった。RIP3タンパク質の発現増加が腫瘍壊死因子TNFによって誘導される病態と関連しており、またクローン病の患者の小腸パネート細胞でもRIP3の発現が上昇していることが見いだされた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度