Nature ハイライト

Cover Story:温暖化と紛争のホットスポット:国内紛争とエルニーニョとの結びつき

Nature 476, 7361

地球の気候と暴力の世界的パターンとが関係付けられる可能性については、歴史家や科学者がずっと以前から理論化を試みてきたが、実際のデータに基づく直接的な検証が行われたことはなかった。今回、国内紛争が、現代の全球的気候の年々変動の主な原因であるエルニーニョ/南方振動(ENSO)と関係付けられるかどうかについて、新たな解析が行われた。熱帯の国々で1950〜2004年にかけて収集されたデータを使って、エルニーニョの年では、新たな国内紛争が勃発する確率が、低温のラニーニャの年の2倍であることが明らかになった。全般的にみると、これらの知見は1950年以降のすべての国内紛争の21%で、ENSOがその勃発の一因となっている可能性を示唆している。この研究は、現代社会の安定性が全球的気候と関連していることを初めて示したものだ。表紙は、エルニーニョに応じて地表温度が高くなる月が年間どのくらいになるのかを示した図で、青の部分はほぼゼロ、赤の部分はほぼ12か月間地表温度が高くなる場所に相当する。熱帯地方の温暖化は、太平洋で生じた大気ケルビン波が地球の自転によって赤道付近にトラップされることが原因である(Letter p.438, N&V p.406)。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度