Nature ハイライト

物性:意外な強磁性過渡状態

Nature 472, 7342

磁性材料におけるスピン秩序のダイナミクスは、情報処理・記録技術の基本的理解と進歩の両方にとって重要である。Raduたちは、フェリ磁性ガドリニウム–鉄–コバルト(GdFeCo)合金におけるスピンダイナミクスを調べている。この合金は、GdスピンとFeスピンの間の磁気交換相互作用の特性時間よりも短い時間スケールで光学的に励起される。そして、GdスピンとFeスピンがかなり異なる時間スケールで反転することが、元素選択的なX線磁気円二色性分光法を使って明らかになった。その結果として、一過性の強磁性的状態の出現という予想外の現象が起こる。この意外な観測結果は、シミュレーションによって裏付けられており、交換相互作用の時間スケールでの磁気秩序の操作可能性という、新しい概念をもたらすものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度