Nature ハイライト

医学:プリオン感染の2つの段階

Nature 470, 7335

プリオン感染には、数年あるいは数十年も続くことがある、臨床的に無症状の潜伏期があり、急速に進行する短い臨床段階がこれに続く。今回、プリオン病のRMLマウスモデルを用いた実験で、脳におけるプリオン増殖が2つのはっきり区別できる段階、すなわちプリオンタンパク質の濃度によって速度が制限されない、比較的短い指数関数的な増殖相と、これに続く平坦相を経て進行することが明らかにされた。意外にも、きわめて長く続くことがある潜伏期の大部分を占めるのは、後者の平坦相である。第1相と第2相の末期の感染性が同程度であることは、プリオンの感染性と毒性は別物であることを示唆している。著者たちは、プリオン自体には神経毒性がないが、宿主細胞がコードする細胞プリオンタンパク質からの神経毒性種の生成を触媒するのかもしれないと考えている。

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