Nature ハイライト

細胞:老化の軸となるテロメア/ミトコンドリア

Nature 470, 7334

ミトコンドリアと、染色体の末端にある保護キャップのテロメアとの間に機能的な結びつきがあることが最近明らかになり、この両方が老化現象にかかわっているのではないかと考えられるようになった。今回、マウスの造血幹細胞と心臓、肝臓の組織のトランスクリプトーム(全mRNA)の分析が行われ、テロメアの機能異常と臓器の機能障害、またおそらくは加齢に伴う病気とを関連付けるテロメア–p53–PGC軸の存在が示された。テロメア機能異常のマウスでは、p53を介した細胞の増殖停止が起こるようになり、さらに、代謝過程やミトコンドリアでの生理過程の主要な調節因子であるPGC-1α、PGC-1βが抑制される。その結果、ミトコンドリア量が減少してミトコンドリア機能に異常が生じ、ATP生産の低下、糖新生の阻害、心筋症を引き起こし、活性酸素種が増加する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度