Nature ハイライト

進化:イカに似たネクトカリス

Nature 465, 7297

カナダのブリティッシュ・コロンビア州にある5億500万年前のバージェス頁岩は、化石の保存状態が極めてよいこと、またアノマロカリスやハルキゲニアなど、その化石の多くが極めて奇妙なものであることで有名である。化石については長年分類が進まず、またスティーブン・ジェイ・グールドの本、『ワンダフル・ライフ』のもととなった。その後、上記の2つをはじめ多くの化石は、現生の無脊椎動物門に沿って分類された。グールドのいう「奇妙な生物(weird wonders)」にはネクトカリス(Nectocaris)も含まれていた。研究に収集された少数のネクトカリスの化石は、節足動物と融合した脊索動物のようにみえた。今回M SmithとJ-B Caronは、ロイヤル・オンタリオ博物館が収集した新標本90点を調べて、ネクトカリスにも分類上のしかるべき位置付けが可能であると提案している。その体の構造は、タコやイカ、絶滅アンモナイト類を含む軟体動物頭足類と近縁なことを示唆している。また、この肉食性動物は1対のカメラ型の眼、柔軟な触腕、およびジェット推進用の「ノズル」を備えていて、イカに似ているが、触腕の数は8本でも10本でもなく2本である。

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