Nature ハイライト

Cover Story:エネルギーの基盤:呼吸鎖複合体Iの構造

Nature 465, 7297

呼吸鎖複合体Iは呼吸鎖の1番目の酵素であり、NADHとキノン間の電子伝達をプロトン転位に共役させることにより、ミトコンドリアでの細胞のエネルギー産生に中心的役割を果たす。この巨大複合体は、機構と完全な構造がわかっていない最後の呼吸鎖構成要素であった。今回、大腸菌(Escherichia coli)の複合体Iの膜ドメインと、高度好熱菌Thermus thermophilusの複合体Iの全体構造が決定された。構造は共役機構についての強力な手がかりを与える。2つの主要ドメインの界面における立体構造変化が長いαへリックスにピストン様運動を引き起こし、近傍の膜貫通ヘリックスを傾けて、その結果プロトンの転位が起こるらしい。表紙は、脂質二重層に埋め込まれたT. thermophilusの複合体Iである。個々のサブユニットはそれぞれ別の色で表され、親水性ドメイン中のFe-Sクラスターは球として示されている。背景は、偏光下での膜ドメイン結晶である(Article p.441, N&V p.428)。

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