Nature ハイライト

Cover Story:ずっと残った痕跡:オルドビス紀のバージェス頁岩型動物相

Nature 465, 7295

カナダのブリティッシュ・コロンビア州にあるバージェス頁岩は、約5億1,000万年前の中期カンブリア紀の極めて多様な軟体性生物の化石を含むことで有名であり、海中に生息した大昔の動物をうかがわせてくれる。現在、類似の動物相は、遠く離れた中国とグリーンランドでも発見されているが、そうした動物相は中期カンブリア紀末には消滅してしまったと考えられ始めていた。だが、「バージェス頁岩型」の動物相が、約4億8,000万〜4億7,200万年前の前期オルドビス紀に当たる、下部および上部Fezouata累層(モロッコ)で発見された。この種の生物は、カンブリア紀以降にも、明らかに生き延びていたのである。これには、絶滅や存続の問題だけでなく、こうした軟体性動物の化石が偶然保存されたことも大きくかかわっている。このFezouata生物相は、バージェス頁岩の群集とオルドビス紀の大々的に起こった生物多様化の初期段階とをつなぐものである。オルドビス紀の爆発的生物多様化は、かつては貝殻の化石だけしか得られていなかった海生生物の歴史の中で、最もめざましい出来事の1つである。表紙はFezouata生物相の節足動物のマレロモルフ(marrellomorph)で、おそらくFurca属のものだろう(Letter p.215)。

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