Nature ハイライト

Cover Story: 科学と犯罪捜査

Nature 464, 7287

裁判での科学的証拠は現在、ごく普通に使われるものであるが、依然として論争の種となり続けている。昨年、イリノイ州の裁判所で、B Duganが強姦殺人の罪で死刑判決を受けた。彼は有罪を認めたが、刑の軽減を求めて弁護側が提出した意見によって、この事件は法の歴史に残るものとなった。神経科学者K Kiehlが、Duganがサイコパスであることを示唆する機能的磁気共鳴画像化法(fMRI)のデータを提出し、Duganに全面的に責任があるわけでないと論じたのである。これを発端に、fMRIによって脳の何が明らかになるのかについての論争が続いた。V Hughesは、法医学での神経画像化の重要性について、Kiehlだけでなく、その批判者たちにもインタビューしている(News Feature p.340)。批判を浴びているのは、目新しい技術だけではない。指紋という証拠は我々が考えるほど明白なものではないと主張する人たちもいる。L Spinneyは、より確率論的な手法を導入して、先入観の影響をできるだけ減らそうという動きについて考察している(p.344)。1980年代に開発されたDNAプロファイリングは、革新的な犯罪捜査法とされ、多くの成功をおさめてきた。しかし、細胞数個分程度の微量のDNAを使う極めて感度の高い技術を使用するような、DNA法医学における最近の傾向は、こうした技術の限界を超えることにもなりかねない。N Gilbertは、DNA法医学を再び正しい軌道に戻すのに必要な対策について報告している(p.347)。米国立科学アカデミーが昨年発表した調査報告書は、現在の法医学の研究分野の多くが、科学的な厳密な評価をきちんと受けることなく発達してきたものだと結論している。P NeufeldとB Scheckは、米国政府は商務省内に「法医科学向上・支援局」を新設し、科学的手法を犯罪捜査に応用する人々や彼らが使う技術について、研究、標準化や免許が必要であると論じている(Opinion p.351)。やはりこの問題を論じているEditorial(p.325)も参照されたい。また、この問題の背景に関する記事やインタビューなどがwww.nature.com/podcastからダウンロードできる。

2010年3月18日号の Nature ハイライト

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