Nature ハイライト

医学:RAFは2通りのシグナルを出す

Nature 464, 7287

RAS–RAF–MEK–ERKシグナル伝達経路の異常な活性化は、ヒトの多くのがんの特徴であることから、この経路は抗腫瘍療法の標的として関心を集めている。数種類のRAFあるいはMEK阻害薬については臨床試験が現在進行中だが、予想外の合併症が出現している。BRAFに選択的に働く阻害剤は、BRAF遺伝子に変異がある黒色腫に治療効果があり、RAF–MEK–ERKシグナル伝達を強力に抑制するが、KRAS遺伝子に発がん性の変異をもつ腫瘍に対しては効果がない。2つの研究グループが今回、この大きな相違が生じるのはRAF阻害剤が2種類の作用をもつためであり、細胞の状況とRAFの変異状態によって、阻害剤または活性化剤のどちらかとして作用することを報告している。News & ViewsではK CichowskiとP Jänneが、これらの結果とCell誌に発表された同様の知見について、機構的、また臨床的なかかわりを考察している。

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