Nature ハイライト

Cover Story:水をとらえるクモの網:クモの捕獲糸は周期的構造変化により水を集める

Nature 463, 7281

霧のかかった朝にクモの巣がキラキラ光るのは、クモの糸が湿った空気から著しく高い効率で水滴を集められることを示している。タイリクウズグモ(Uloborus walckenaerius)の捕獲糸の研究によって、この能力は糸が湿ると起こる構造変化に依存することが明らかになった。この「湿ると再構成される糸」は、ランダムな方向を向いているナノ繊維からなるいくつもの紡錘状のこぶが、整列したナノ繊維からなる接合部で隔てられているという特徴をもつ。この構造が、紡錘状のこぶと接合部の間に表面エネルギー勾配を生じさせ、紡錘状のこぶまたは結合部に接触している水滴にかかる圧力に違いをもたらす。これによって、水は接合部の周りで連続的に凝結した後、紡錘状のこぶに送られ、そこで蓄えられて、表紙にみられるように大きな水滴となる。ぬれたクモ糸の構造を模倣した人工糸も、薄い霧から水滴を集めることができる。この研究から、霧から真水を集めたり、工業工程で液体エアロゾルをろ過したりできる機能性表面の設計に関する知識が得られそうだ(Letter p.640, News & Views p.618, Making the paper p.586)。

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