Nature ハイライト

生理:発熱に関与する骨タンパク質

Nature 462, 7272

タンパク質RANK(receptor activator of nuclear factor κB)およびそのリガンドであるRANKLは必須の骨髄調節因子であり、RANKLに対する抗体は骨粗鬆症の治療薬として開発が進められている。RANKLとRANKは中枢神経系でも発現されるが、そこでの機能は不明であった。今回、ラットとマウスを用いた研究により、脳のアストロサイトでRANKL/RANKが発現されていることがわかった。意外にも、RANKLを投与された動物は重度の発熱を起こす一方、遺伝子操作によってアストロサイトがRANKを欠くマウスは、発熱に対して抵抗性を示した。その他のデータも、炎症時の中枢性熱応答および女性の体温制御の両方に、RANKL/RANKがかかわっていることと一致している。また、RANKの変異に関連する骨粗鬆症を起こした小児2人の症状から、肺炎を発症しても熱が出ないことがわかった。RANKL/RANKは、閉経期の女性が経験することがある、一過性のほてりや顔面紅潮などに関与する因子である可能性がある。

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