Nature ハイライト

工学:シリコンベースのスピントロニクス

Nature 462, 7272

スピントロニクスでは、従来型エレクトロニクスの基本単位である電子電荷に代わって、電子スピンの自由度が、将来のスピンベースの電子データ記憶やコンピューティング技術における情報担体として使われる。現在のエレクトロニクスではシリコンが普及しているので、シリコンベースのスピントロニクスデバイスを実現しようという努力がなされてきた。しかし、これまでのところ、そのようなデバイスで電荷キャリアのスピンの制御に成功したのは低温の場合のみであり、しかも1種類のキャリア(電子)のみに限られていたため、スピントロニクスの技術的可能性が制限されていた。今回、トゥエンテ大学(オランダ)の研究チームは、シリコンベースの三次元デバイスを作製し、電子と「正孔」(電子の抜けた孔で正電荷をもつ)の両方のスピン偏極を室温で注入して操作し、検出することに成功した。

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