Nature ハイライト

大気:対流圏でも起きている塩素汚染

Nature 464, 7286

塩素原子は、フロンの一種であるクロロフルオロカーボンとして成層圏でのオゾン破壊にかかわっていることで悪名が高い。新たな観測結果から、塩素は大気のもっと下の層で、これまで考えられてきたよりも強力な影響を及ぼしているらしいことが示唆された。対流圏に気体状の塩素原子前駆物質が存在するのは、一般に海洋大気現象によるものだと見なされている。しかし、米国コロラド州ボールダー近郊で行われた測定によって、最も近い海岸から1,400 km離れている大陸環境条件下で、大気に含まれる塩化ニトリル(ClNO2)が相当量生成されていることが明らかになった。この発見をモデル研究に組み込んでみると、おそらく人為起源の汚染物質から生じる塩化ニトリルの米国本土のみの生成量は、海洋域に対するこれまでの全球の推定値と同等の水準であることが示唆される。

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