Nature ハイライト 生化学:タンパク質が見せる手品 2009年9月17日 Nature 461, 7262 尾部アンカー型(tail-anchored;TA)タンパク質は、ほとんどすべての細胞膜で重要な生化学過程を仲介している。このようなタンパク質は、1つの膜貫通ドメインにより膜につなぎとめられた内在性膜タンパク質で、N末端細胞質ドメインは細胞質内にある。最近の研究により、小胞体へのTAタンパク質のターゲッティング(局在化)は、細胞質ATPアーゼシャペロンGet3により仲介されることが示唆されている。今回、ヌクレオチドが結合していない「開いた」状態と、ヌクレオチドが結合した「閉じた」状態のGet3の結晶構造が決定された。開いた状態から閉じた状態への移行によりかなりの構造変化が引き起こされて、TA基質を収容するのに十分な大きさの疎水性の溝が明らかになる。これらの結果は、ヌクレオチドが制御するTAタンパク質の結合と解離の機序を明らかにしている。 2009年9月17日号の Nature ハイライト 細胞:欠陥ミトコンドリアDNAの交換修理 生化学:タンパク質が見せる手品 宇宙:やっと解明されたヘルクレス座の謎 工学:跳ね返る液滴 気候:森林が放出するイソプレンはエアロゾルを減らす 進化:絶滅した海生爬虫類の性決定 医学:C型肝炎の治療効果予測マーカー 細胞:iPS細胞を使った疾患モデル 目次へ戻る