Nature ハイライト

物理:超伝導の転移温度のなぞ

Nature 428, 6978

いわゆる高温超伝導体の謎めいたふるまいについて解明が進んだ。これは今までよりもさらに効率のよい超伝導体の発見につながるかもしれない。 超伝導体はエネルギー効率のよい物質であり、特定の温度(転移温度)以下に冷やされた場合、電気を抵抗なしに伝えられる。室温で超伝導性を示す物質はまだ見つかっていない。最高記録はまだ-150℃という低さで、現在のところ銅酸化物超伝導体の一族がもっている。この超伝導体は超伝導性の銅酸化物の層の間に絶縁体が挿入された構造である。重なった超伝導層の数が増えると、転移温度も高くなるが、それには限界がある。3枚以上の超伝導層が重なると、転移温度は再び下がり始める。 S Chakravartyたちは、組み合わせればこの傾向が説明できる3つの要素をつきとめた。すなわち、ある超伝導層から次の超伝導層へと電子が飛び移る能力、超伝導層間の電子分布、一枚の層内の電荷配列である。 「この奇妙な層状物質の転移温度になぜ限界があるのか、その理由が今回わかるかもしれない。これは実にすばらしいことだ。またこの知見によって、さらに高い転移温度をもつ物質の設計が実現に一歩近づいた可能性もある」とP ColemanはNews and Viewsで述べている。

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