アリは通路がすごく混雑してくると、渋滞しないように別の道筋をとることが実験でわかった。道があまりに混んでいると、アリはその道から他のアリを押し出し、違う道を通るようにさせるのだ。餌を探して運ぶアリたちは道しるべに沿って1本の道を通ろうとし、道しるべは通るアリたちのつける匂いでさらに補強される。A Dussutourたちは実験でトビイロケアリ(Lasius niger)を使い、砂糖を置いた餌場と巣との間に、途中、同じ幅で2本の通路に分岐するダイヤ型の橋を渡した。それぞれの通路が10 mmの幅だと、アリの通行量は2本の分岐路のうち片方がはるかに多くなった。だが、もし分岐している通路の幅が狭く混雑がひどくなると、2つの分岐路を通るアリの交通量は結局同じくらいになる。Dussutourたちの説明によると、通路が2つに分岐する場所でアリの押し合いが起こるために、こうした現象が現れるのだという。アリはできれば、道しるべとなる匂いが強いほうの道を通りたがる。しかし、交通量の多い分岐路に入ろうとすると戻るアリと衝突が起こり、そのせいでもう1つの分岐路に向かうことになる。
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