Nature ハイライト

Cover Story:アクチンを使う運動:ワクシニアウイルス感染細胞中のシグナル伝達ネットワークの動態

Nature 458, 7234

表紙は、ワクシニアウイルス感染細胞でウイルスの誘導によってアクチン尾部が5分間にたどる道筋を示した蛍光画像のスチール写真で、動画から合成したもの。アクチン関連タンパク質(ARP)2/3に依存したアクチン重合反応は、移動など多くの細胞過程に重要な役割を果たしており、近年、この反応を促進するシグナル伝達ネットワークにかかわる分子の解明が、大きな進展をみせている。ARP2/3複合体がアクチン重合を促進するように働く仕組みを分子レベルで完全に解明するには、この複合体を活性化するシグナル伝達ネットワークの構成と動態を詳しく知る必要がある。Weisswangeたちは、ワクシニアウイルス感染細胞で、生細胞画像化技術と蛍光退色法を組み合わせ、ARP2/3複合体の活性化因子として知られるN-WASPの代謝回転速度が上がると、アクチンを介したウイルスの運動速度も上がることを明らかにした。ウイルスの支配下でN-WASPの代謝回転を促進するには、アクチンの重合も必要である。これらの観察結果は、ウイルス支配下のN-WASP集合の安定性が、ARP2/3複合体に依存して起こるアクチンに基づく運動の最終的な速度を制御している、というモデルと一致する(Letter p.87)。

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