Nature ハイライト

進化:LUCAの好みは変わりやすい

Nature 456, 7224

すべての現生生物がその子孫である「全生物の最終共通祖先(LUCA)」についての研究は、人を引きつける。LUCAの生息していた35億〜38億年前については化石証拠が乏しいため、LUCAの生物学的特性や環境に関する情報は間接的な証拠から得るしかない。現生生物のゲノムから得られる遺伝学的レベルの証拠に基づいて再現された祖先のタンパク質のアミノ酸配列からは、当時の環境が高温で、LUCAは好熱性であったことが示唆されている。しかし、リボソームRNAの塩基配列からは、それよりも温度の低い環境と一致する結果が得られている。この見かけ上の不一致が、「分子温度計」という新しい方法によって解決できたようだ。分子進化に関する最新の数理モデルを用いて、何百種もの現生種から得たrRNA塩基配列およびタンパク質アミノ酸配列を分析した結果、環境の温度変化には2つの段階があったことが示唆された。LUCAのもとになった生物は当初は中温性で、約60℃の水に生息していたが、その後70℃を超える高温に適応して好熱性の共通祖先が生じた。この後、海洋が冷却されるにつれて、細菌および古細菌-真核生物が多様化した。

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