Nature ハイライト

生態:ヤマメからニジマスが生まれる?

Nature 430, 7000

将来、精子または卵になる始原生殖細胞を、ある種から別の種へ移すことができれば、種の保全につながるだけでなく、商業的価値のある魚類の生産にも役立つ。Brief Communicationsで吉崎悟朗たちは、近縁関係にあるサケ属のニジマス(Oncorhynchus mykiss)とヤマメ(O. masou)の間でこれに成功したと報告している。彼らは孵化直後のニジマスの胚から始原生殖細胞を含む組織を取り出し、ヤマメの胚に移植した。このヤマメ胚はニジマスの性細胞(卵または精子)をもつ成魚となり、ある種(この場合はヤマメ)の個体に別の種の個体を産ませることが可能になった。つまり、ヤマメがニジマスを産むことも夢ではなくなったのである。今回の結果は、動物界において、異種ドナーの生殖細胞が機能する性細胞へと発達し、ドナー由来の個体を誕生させうることが示された初めての例だろう。

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