Nature ハイライト

生理:脂質で血糖値を調節

Nature 452, 7190

げっ歯類とヒトでは、腸内に脂質が存在するだけで腸-脳神経軸が活性化され、栄養摂取が減少することが知られている。最近の研究で、げっ歯類では脳-肝神経軸を介して脳が血中の脂質を直接感知し、グルコース産生を抑制してグルコース恒常性を維持することが示されている。今回、腸上部に脂質が存在すると、腸-脳-肝神経回路を介して急速にグルコース産生が阻害されることが初めて実証された。ラットを用いた研究で、小腸に入った脂質または脂肪が、脳への求心性神経シグナルの引き金となり、脳はわずか15分ほどでグルコース産生と血糖値を低下させるためのシグナルを肝臓に対して送ることがわかった。しかし、高脂肪食を3日間とるだけで、このシグナルは遮断されて作用しなくなり、他の臓器に対して血糖量を低下させるシグナルが伝達されなくなる。この結果から、肥満または糖尿病の患者で血中グルコース、つまり血糖値を低下させるための新規標的が見つかることが期待される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度