Nature ハイライト

物理:レーザー用のナノ結晶

Nature 447, 7143

半導体ナノ結晶は極めて良好な発光特性をもつため、溶液を使った方法で容易に処理できる光増幅媒体として有望であり、マイクロエレクトロニクスの光相互接続、ラボ・オン・チップ技術や量子情報処理などへの応用が考えられる。このような構造体で問題となるのは、光学利得を得るにはナノ結晶中に少なくとも2個の励起子(束縛された電子と正孔の対)が存在する必要があり、そのため性能に限界があることだ。実際に、光増幅が起こる前に励起子が相互作用して消滅してしまう。この障害が今回、異なる半導体材料でできた核と殻をもち、電子と正孔が互いに分離されるように作られたナノ結晶を用いて解決された。その結果、単一の励起子に基づく光学利得が可能になり、レーザー用途での実用的な光学材料としてナノ結晶は極めて有望になってきた。

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