Nature ハイライト

Cover Story:アイドリング状態の脳:自発的な変動から明らかになった神経回路

Nature 447, 7140

脳の機能研究は、特定課題の遂行中や特定刺激への応答時の活動の測定に傾きがちである。しかし実際には、脳は時間とエネルギーの大部分をこうした活動に費やしているわけではない。今回、機能的磁気共鳴画像解析から、サルの脳は、感覚や運動、認知といった現象とこれまで関係付けられてきた型の複雑な分布パターンをとって絶えず周期的に変動していることが明らかになった。この変動は、麻酔で意識が消失した状態でも存在し、解剖学的な連結構造の基本パターンに対応している。これらの神経回路が、知覚や思考を可能にしている基本構造なのかもしれない。面白いことに、この変動の枠組みは、サルとヒトとで全く同じではないにしろ似通っていることから、この構造は霊長類の種を通じて保存されているとみられる。表紙は、意識を生み出す神経ネットワーク間の動態をアーティストJohn W. Campbellが視覚化した、デジタル処理を施したグワッシュ画である。

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