Nature ハイライト

構造生物学:対象が拡大したNMR分光法

Nature 445, 7128

プロテアソームは、損傷を受けたり誤って折りたたまれたタンパク質を細胞から除去する大型の分子機械である。プロテアソームのような大型の高分子会合体の性質を調べるのには、X線回折や電子顕微鏡が用いられることが多いが、これらの方法では静止状態の3次元構造は得られるものの、構造の時間的な変化は明らかにできない。定量核磁気共鳴(NMR)法による測定は、対象にできる大型分子の分子量に制限があったが、R SprangersとL Kayはこれを克服し、670キロダルトンの20Sプロテアソームコア粒子の動態をNMRを使って調べた。この新しい方法では、アミノ酸側鎖の選択的同位体標識とそれによって得られるNMRシグナルの寿命を延ばす手法を併用している。この方法により、従来NMRで扱われていたものよりも分子量が1桁以上大きな超分子の機能的に重要な動きが明らかになった。

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