Nature ハイライト
Cover Story:季節のリズムと開花:全球マップが明らかにする、植物の生態の季節的多様性
Nature 645, 8079
表紙は、米国カリフォルニア州ジョシュアツリー国立公園で開花するマツヨイグサの一種Oenothera deltoidesである。植物の成長における季節的リズムは場所ごとに大きく異なり、こうして生じる地理的パターンは「地表面フェノロジー(地表面の植生の季節変化)」と呼ばれ、生態系機能に関する重要な情報を含んでいる。今週号ではD Terasaki Hartたちが、人工衛星データに基づく地表面フェノロジーの全球マップを提示し、これを用いて、季節的生活環における局所的な乖離および大陸間の収束のパターンと駆動要因を評価している。著者たちは、これらの地図を一連の植物・動物種から得られた地上のデータと比較することで、特定の地域において近接地点間で季節的フェノロジーが同期しない傾向である「異所性による異時性(allochrony by allopatry)」の生態的・進化的帰結を理解する上で、リモートセンシングが有用であることを実証している。
2025年9月4日号の Nature ハイライト
天文学:ケイ酸塩前駆物質のシランを褐色矮星で検出
惑星科学:地震波解析から示された火星の固体内核
量子物理学:タンパク質をキュービットとして利用する
集積光学:超広帯域オンチップフォトニクスによる無線通信
分析化学:電子線回折による部分電荷抽出
アト秒科学:キラル分子の光イオン化ダイナミクスの制御と測定
工学:鋼トラス橋の潜在的抵抗機構の特定
医用生体工学:細胞の周りに3D印刷する技術
ケモインフォマティクス:フローマッチングを用いて化学反応機構を予測
機械学習:AIで古代テキストを復元して読み解く
進化遺伝学:鳥類の独特な性染色体遺伝子量補償機構
幹細胞:一酸化窒素産生ニューロンが消化管の運動を改善
作物防御:アブラナ科以外の植物のサリチル酸生合成経路
ウイルス学:病原性の高い組換えコロナウイルスFCoV-23スパイクタンパク質の解析
免疫学:がんでの樹状細胞の重要な調節因子PDE5
心血管生物学:アテローム性動脈硬化を誘発し、治療標的にもなる分子が見つかった
神経疾患:脳疾患治療用ナノボディの開発