Nature ハイライト
Cover Story:荒らされる海:氷山の形成が、氷河末端での波によって駆動される融解を加速している
Nature 644, 8076
氷河のカービング(氷の塊が分離して氷山となる現象)は、海中での融解と組み合わさって、グリーンランド氷床の質量損失の主な駆動要因となっている。しかし、この過程の詳細なダイナミクスは依然として不明なままである。今週号でD Gräffたちは、光ファイバーセンシングを用いて、氷山の形成がもたらす複雑な影響を可視化している。彼らは、氷山がその母氷河から離れると、津波や内部波などの一連の相互作用を引き起こし、それが海中での融解を増幅させて、これがおそらくさらなるカービングの増加につながることを見いだした。表紙の画像は、氷の亀裂や、カービングによる津波が氷の末端下部を削り取る様子が氷河のカービング端を連想させる、グリーンランドの氷山の姿を捉えたものである。
2025年8月14日号の Nature ハイライト
惑星科学:太陽類似星の3割は傾いた円盤を持つ
工学:太陽光だけで高高度大気中に浮上できる構造
材料科学:バルク六方晶ダイヤモンドの合成と特性評価
核化学:アクチニウム分子とノーベリウム分子の質量数の直接測定
触媒:酵素の転用による不斉金属–ヒドリド水素原子移動
水文学:水平方向の水文学的流れを含む全球の湿度指数
化学生態学:ワタリバッタの集合フェロモンの生合成経路
ゲノミクス:これまでで最も完全なヒトゲノムデータセット
ゲノミクス:祖先系統の多様な人々における構造バリアントの全体像
神経科学:細胞認識分子の発現が行動を決める
神経生理学:寒冷環境を生き抜く戦略
細胞生物学:植物がバリア組織の損傷を感知する仕組み
微生物学:非抗生物質が腸内微生物相を乱す
医学研究:病理標本の細胞内分解能での包括的画像解析法
腫瘍免疫学:チェックポイント免疫療法を増強する自己抗体の発見
がん:卵巣がんで免疫療法応答を高める変異
がん:大腸上皮細胞は、ATRXを失うと可塑性を持つ細胞へと変身する