Nature ハイライト

統計学:都市の盛衰を描き出す「順位時計」

Nature 444, 7119

都市や会社、インターネットといったもののサイズの分布の多くは、ある程度の安定性を意味するスケーリング則に従っている。この種の分析に対する新しい手法によって、そこにはもっと不安定で激しい動態があるが、ある一瞬に注目した観察では、その動態がほとんどみえなくなってしまうことが示唆された。この「順位時計」(rank clock)という手法は、ある系(今回の例では都市のサイズ分布)の長期にわたる挙動を視覚化するためのものである。特徴が大きく異なる3通りの都市の系について、大きく異なる時間枠で検証したところ、文明や都市が何度もさまざまな規模でサイズを増減させており、ミクロレベルでの普遍的な「順位-サイズ」スケーリング則や比例効果による成長の関連モデルが意味をもたないことが、順位時計から明らかになった。だが順位時計を使えば、ローマの盛衰や産業革命の影響のような重要な変化を追跡することが可能である。

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