Nature ハイライト

Cover Story:類人猿ゲノム比較の成果:6種の類人猿の全ゲノム塩基配列によってヒトの進化への洞察がもたらされた

Nature 641, 8062

ヒトゲノムが解読されて以来、比較のために、ヒトに最も近縁な霊長類のゲノムを解読する取り組みが続けられてきた。しかし、そうした類人猿のゲノムは巨大で反復配列を多く含むために解読が困難で、ヒトと類人猿の進化を比較する研究が制限されてきた。今回、E Eichlerたちがこの空白を埋めるべく、類人猿の主要な6系統を代表する種、すなわちチンパンジー(Pan troglodytes)、ボノボ(Pan paniscus)、ゴリラ(Gorilla gorilla、表紙画像)、ボルネオオランウータン(Pongo pygmaeus)、スマトラオランウータン(Pongo abelii)、フクロテナガザル(Symphalangus syndactylus)の、ほぼ100%完全なゲノム塩基配列を提示している。これらの新たな塩基配列は、最近得られたヒトの完全なゲノム塩基配列と同等の品質で、これにより、セントロメアなど従来アクセスできなかった領域の解析が可能になり、新規の系統特異的遺伝子が明らかになった。研究者たちは、これら6例のゲノムが今後のヒトと類人猿の進化研究の基盤になると述べている。

2025年5月8日号の Nature ハイライト

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