Nature ハイライト 構造生物学:補体の立体構造を明らかにする 2006年11月9日 Nature 444, 7116 今回、3つの論文で、ヒトの補体成分C3の活性型であるC3bのX線構造が初めて報告された。補体系は、血液中の血清タンパク質や細胞表面の受容体から構成されるファミリーで、病原体を認識し、それらに対する免疫応答を引き起こす。C3タンパク質で中心的な働きをするのはチオエステル基である。チオエステル基は活性化されると病原体上のアクセプターに結合し、その病原体を破壊するための標識となるのである。宿主細胞の中にも同様のチオエステル基が存在するので、C3のチオエステル基は厳重に隠し続けておかねばならない。C3bの活性型の構造に関する知識は、補体系を操作する治療法を設計するための一歩となる。補体系の異常な活性化は、関節炎、喘息、エリテマトーデス、自己免疫性心疾患および多発性硬化症などの、多様な疾患に関与しているとされている。 2006年11月9日号の Nature ハイライト 疫学:ゴリラもHIVの供給源? 地球:ヒマラヤ地震が起こる訳 宇宙:月の内部から噴出したガス 遺伝:勝ち残る遺伝子、消え去る遺伝子 細胞:膜内でのタンパク質分解 工学:潤滑剤の新しい波 気候:気候のシーソー 進化:四肢動物:陸上生活への長い助走 構造生物学:補体の立体構造を明らかにする 目次へ戻る