Nature ハイライト 細胞:2個でも多過ぎ 2006年8月24日 Nature 442, 7105 中心体は、細胞周期の最初には1個、有糸分裂の際には2個存在するように、1回の細胞周期につき1回だけ複製(倍加)される。この過程に異常があると、ゲノムの不安定性やがんの原因になることさえある。in vitroでの研究で、細胞が中心体の複製を制御する仕組みと染色体分離を制御する仕組みとの間に、意外な類似性があることが明らかになった。有糸分裂の終了時には、中心体の2個の中心小体が離れるが、この過程には、有糸分裂での姉妹染色分体の分離にかかわるプロテアーゼであるセパラーゼが必要となる。分離した中心小体は、次の細胞周期における複製の基材となる。新しく複製された中心小体は対となっているので、有糸分裂が終わるまではもう1度複製することはできない。そして、有糸分裂が終わって初めてセパラーゼによって切り離され、複製が可能になる。この研究により、1回の細胞周期に正確に1回だけ複製が起こる2つの細胞過程について、共通する仕組みが明らかになった。 2006年8月24日号の Nature ハイライト 研究環境:研究最前線からの2つのニュース 進化:親戚を大切に 遺伝:RNAiの影響は子々孫々まで続く 宇宙:銀河 vs ブラックホール 宇宙:マグネターは電波星である 物理:「安定性の島」に住む元素種族 地球:酸素…だよね? 脳:引きに恵まれて生き残る 遺伝:認知症を引き起こす変異 細胞:2個でも多過ぎ 目次へ戻る