Nature ハイライト

材料科学:炭素同位体の拡散の画像化

Nature 603, 7899

走査型透過電子顕微鏡(STEM)と振動電子エネルギー損失分光法(EELS)を組み合わせると、試料の化学組成に関する情報を高い空間分解能で得ることができる。しかし、STEM–EELS法の空間分解能はこれまで、数百ナノメートルが限界であった。末永和知(大阪大学)たちは今回、この手法を用いて炭素の2つの安定同位体12Cと13Cを識別し、その拡散をサブナノメートルの分解能でマッピングしている。彼らはまず、純粋な13Cグラフェンに亀裂を形成して透過電子顕微鏡(TEM)でその位置を画像化し、次に、12CをTEMチャンバー内の残留ガスの形で導入し、新たなグラフェンドメインの成長をモニタリングした。試料を加熱すると、グラフェンマトリックス内で12C原子の拡散が観察された。

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