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考古学:卵殻のビーズがつないだアフリカの古代ネットワーク

Nature 601, 7892

ダチョウの卵殻のビーズで作られた、現代のネックレス。
ダチョウの卵殻のビーズで作られた、現代のネックレス。 | 拡大する

Credit: Bryony van der Merwe / iStock / Getty Images Plus

古代DNAの研究から、アフリカ人の遺伝的系統は東部と南部とで約35万~7万年前に分岐したと示唆されている。しかし、ダチョウの卵殻(OES)のビーズの形状の経時的な変化に見て取れるように、文化的なつながりはその後も持続していた可能性がある。OESビーズは、一般に小型の円形で、中央に穴が空いており、サイズや形状はドーナツ型のシリアルとほぼ同じか、それよりやや平たい。今回、こうしたOESビーズが新たに調べられ、その起源がアフリカ東部にあることが明らかになった。この地域のビーズは、本体と穴の直径が5万年にわたってほぼ一定で、ごくわずかな変化しか見られない。こうしたビーズの製作は、約5万~3万3000年前に地域的な集団のつながりを介して南方へと広がった。アフリカ南部のビーズは東部のものより多様で、最初は東部と同様にかなり大きかったが時間とともに小型化した。その後、東部と南部のつながりは散発的になり、南部のOESビーズは3万3000年前以降に消滅したようだ。これは気候条件の悪化が原因であった可能性があり、この地域の集団は2000年前以降に牧畜民が南部に移動するまで隔離されたままだった。南部の新しいビーズは、サイズが著しく小型化しており、本体も穴も直径が小さくなっていた。今回の研究は、アフリカの地域集団が相互作用した時期および場所を条件付ける上で、気候のプッシュプル機構が重要な役目を果たしたことを示唆している。

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