Nature ハイライト

太陽エネルギー:α-FAPbI3ペロブスカイト太陽電池の擬ハロゲン化物アニオン工学

Nature 592, 7854

一般式ABX3(Aはセシウム、メチルアンモニウム、ホルムアミジニウムなどの1価カチオン;Bは2価の鉛、スズまたはゲルマニウム;Xはハロゲン化物アニオン)で表される金属ハロゲン化物ペロブスカイトは、薄膜太陽電池の光吸収材料として大きな可能性を示してきた。調べられた多数の組成の中では、立方晶α相のホルムアミジニウム三ヨウ化鉛(FAPbI3)が、高効率かつ安定なペロブスカイト太陽電池向けの最も有望な半導体として浮上しており、ペロブスカイト研究分野にとっては、そうしたデバイス中のFAPbI3の性能を最大にすることが極めて重要である。今回我々は、擬ハロゲン化物アニオンであるギ酸イオン(HCOO)を用いて、ペロブスカイト膜の粒界や表面に存在するアニオン空孔欠陥を抑制するとともに膜の結晶性を向上させる、アニオン工学の概念について報告する。得られた太陽電池デバイスは、電力変換効率25.6%(認証効率25.2%)を達成し、長期動作安定性(450時間)を有し、外部量子効率が10%を超える強いエレクトロルミネッセンスを示した。今回の知見によって、金属ハロゲン化物ペロブスカイト中に最も多く存在して悪影響を及ぼす格子欠陥を排除する直接的な方法がもたらされ、オプトエレクトロニクス特性を向上させた膜が溶液プロセスで容易に得られるようになる。

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