Nature ハイライト

コロナウイルス:SARS-CoV-2のスパイクは膜融合のための準備を行う

Nature 588, 7837

コロナウイルスの表面はスパイクタンパク質で覆われており、これが細胞表面受容体と相互作用することで細胞への感染を仲介する。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質は、受容体であるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)と相互作用する。類縁のSARSコロナウイルス(SARS-CoV)のスパイクとは異なり、SARS-CoV-2由来のスパイクには、宿主のプロテアーゼであるフリンによって認識・切断される配列が含まれている。S Gamblinたちは今回、フリン切断型のSARS-CoV-2スパイクタンパク質を用いて、そのACE2受容体との結合をクライオ電子顕微鏡によって調べ、非結合型の閉じたスパイク三量体から、ACE2結合型の完全に開いた三量体まで、10種類の異なる構造を提示している。これらの構造から、ACE2の結合が、融合の活性化に必要なスパイク三量体の不安定化や構造変化を引き起こす仕組みについての視覚化が可能になった。

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