Nature ハイライト

進化学:現生種を見ても進化の歴史は分からない

Nature 580, 7804

シーラカンスの1種<i>Latimeria chalumnae</i>。
シーラカンスの1種Latimeria chalumnae。 | 拡大する

Credit: Peter Scoones / The Image Bank / Getty Images Plus

生物の形態を決めるものは何なのか。アリや寄生バチの種類は無数にあるのに、シーラカンスは2種しか現生していないのはなぜか。これらの疑問のうち少なくともいくつかについては、その根底に種分化と絶滅の速度の変動を見積もる必要性がある。しかし、このような速度を見積もるのは困難であることがよく知られている。S LoucaとM Pennellは今回、そのような不確実性の厳しい現実を明らかにしている。彼らはどんな種分化–絶滅モデルにも、代替となる出生–死亡モデルが無数に存在し、それらは候補モデルとしてどんな現生種の時間系統樹も同等にうまく説明し得ることを突き止めた。我々に集められるデータはこうした研究に不適格であるだけでなく、驚くことにデータ量が無限にあっても、ある系統樹を作り出すシナリオ同士を区別するには不十分なのである。

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